クロコは不安げな声で店員に話す。
「そうみたいね。正直どういう呪いかは知らなかったんだけど、まさか女になっちゃう呪いだとはね。びっくりした」
店員はクロコとは正反対で落ち着いた様子だ。
「女になるって、じゃあ、これで……オレは……女に」
完全に困惑した表情のクロコ、しかし突然ハッとすると、人差し指にはめた指輪を抜こうとする。
「こんな指輪!」
しかし指輪は引っ張っても抜けない。
「クソ!! 抜けない」
必死に指輪を引っ張るクロコ、しかし指輪は肉に挟まっているわけでもないのにまったく抜ける気配がない。
混乱するクロコをよそにブレッドは店員の前に立つ。
「この指輪の呪いでクロコは女になった、それはわかる。……だとすればこの呪いを解くことだって可能なんだろ」
ブレッドが冷静な態度で店員に話す。その言葉を聞きクロコも少し落ち着きを取り戻す。
「さあ~ね~、少なくともわたしにはこの呪いの解き方わかんないね」
店の店員の軽い口調にクロコがイラッとする。
ブレッドが店員に詰め寄る。
「解き方が分からないって、あんた呪い屋なんだろう」
「そうだよ、私は呪いのスペシャリスト。店で扱ってる大抵の器具の呪いは解けるけど……」
「じゃあなんでこの指輪の呪いは……」
「いい? 呪いってものは相手をおとしめるもの。これはわかるよね。だけどそれと同時に相手との交渉手段としても重宝するの。ようするに相手をまず呪って、その呪いを解く代わりに相手に何かを要求する」
店員は二人に言い聞かせるような口調で説明する。
「そういうこともあって、呪いの器具は本来とても高価……。例えばこのギャロック草の入った水晶は40万バル。だけどこの指輪に関して言えば、呪いの解き方はわからない。つまり交渉手段としての価値がないの。だから安値」
「なるほど……な」
ブレッドは半ばあきらめた様子だ。
「まー、だから仕方ない! 勝手に付けたのはそっちのミスなんだしー、潔くあきらめて……」グッチ
「あきらめるわけないだろ」
クロコが明らかに殺気のこもった声を出した。
「てめぇ、それで済むと思ってんのか……!!」
そう言って鋭い眼で店員をにらみつける。
そして一歩ずつ店員に近づいていく。その異常な迫力にヒョウヒョウとしていた店員にはじめて焦りの色が見える。
「ま、まあ、私は呪いの解き方知らないし、自分で探すしかないんじゃない? まあ、そゆことで……」
店員はそういうと白いボールを服から取り出して地面に投げつけた。地面に当たったボールがパンッ! という音をたてた瞬間、辺りが白い煙に包まれる。
クロコは興奮した様子で怒鳴る。ティファニー シルバー
「おいおい……、落ち着けよ。店員は呪いの解き方を知らないんだぞ。探すだけ無意味だろ。それにクロ、この事態はおまえ自身の責任でもあるんだぞ」
「……!!」
クロコはくやしそうな表情をしながらも言葉を失う。ブレッドはため息をつく。
「仕方ない……、入軍は先延ばしにして、まず呪いの方をなんとかしよう」
「なに言ってんだ……」
「いや、だからこの体のままじゃあ……」
「関係ねぇよ」ティファニー 1837
「いやいや、関係あるだろ」
「ブレッド! オレ達はなんのためにここに来た! なんのために町を出たんだ!!」
「わかる! おまえの言いたいことはわかる。だけどな……」
「オレ達は決心してここまで来たんだ。セウスノール解放軍に入軍するために!!」
ティファニー ロック
「わかってるって、オレだって同じ気持ちで来たんだ。だけどな、クロ! 非常に残念なことに、セウスノール解放軍は男しか入軍を認めてないんだ!!」
ブレッドが強い口調でクロコに言い聞かせるように言った。
「関係ねぇ! オレは男だ! なんと言おうとオレは解放軍に入る!!」
(えぇぇ――…………)
ブレッドは青い顔をした。ブルガリ ネックレス